メフィスト賞座談会

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ぼくが中学生とか高校生だった頃は、新本格や、その後のメタミステリが全盛を極めていた時代だ。本屋に行くと真っ先に向かうのは講談社ノベルスのコーナー。そしてぼくは当時雑誌「メフィスト」を買っていた。

「メフィスト」の中で一番最初に読んだのは、巻末のメフィスト賞選考座談会である。これはメフィスト賞に応募してきた作品を編集部同士で「アリか・ナシか」を話し合うもの。「アリ」になればその場で受賞と出版が決まるのだ。

その中でもすごくよく覚えているやりとりがある。以下、記憶で書くけれどもこんな感じ。

「この人また送ってきたよ」
「だけれどもナシだな。見送り」
「探偵の名前が『大爆笑カレー?』」
「ほかにも『ルンババ12』とか『冥王星O』とか。そんなのばっかり」
「なにそれ、名前なの?」
「あんまり奇をてらいすぎるのも問題だよね。じゃ、次の作品行きましょう」

何の予備知識もなしでこのやり取り見たら「この人の小説家デビューは遠そうだなあ…」って思うよね。ぼくもそう思っていた。何回か作品を送っているみたいだったけれどもそのたびに「また大爆笑カレーの人か」ってコメントがついていたと思う。

でもこの人は、その後も粘り強く投稿してメフィスト賞を勝ち取った。実際に「大爆笑カレー」って探偵が出てくる作品ものちに出版されて、ヒットしている。

わかりますよね。作家の名前は舞城王太郎。

講談社の人たちが、投稿時代の舞城作品を酷評しているのをもう一度ちゃんと読みたい。文章の評価なんて簡単にうつろうといういい見本になる。

でもメフィストはなんかのときに全部処分してしまった。

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